経歴

1986年早稲田大学理工学部応用化学科卒,
1991年同大学院理工学研究科博士課程修了(工学博士)
1990年日本学術振興会特別研究員
1991年早稲田大学助手
1993年同学専任講師
1996年同学助教授
1999年U.Penn.客員研究員
2005年早稲田大学理工学部応用化学科教授

日本血液代替物学会 理事、会誌編集委員長、日本人工臓器学会 評議員、高分子学会 行事委員.

キーワード

高分子化学 / 分子工学 / 分子集合体 / 人工赤血球 / 電子，イオン伝導性高分子

連絡先

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E-mail: takeoka@waseda.jp

URL: http://www.appchem.waseda.ac.jp/~polymer/

研究内容

両親媒性分子（リン脂質，糖脂質，アミノ脂質）や高分子（水溶性高分子，高分子電解質），蛋白質などが構築する多様な分子集合形態や,これらの分子間相互作用による協同現象は，生命現象の理解のみならず特定の機能を持つナノデバイスの構築においても重要であり，その実践的な研究を展開している．

1．分子集合制御によるナノカプセル大量調製技術と人工赤血球への展開
酸素を可逆的に結合するヘモグロビンを内包させた粒子径250nmのリン脂質二分子膜小胞体は人工赤血球として機能する．リン脂質分子は水中で自発的に集合して二分子膜小胞構造となるので、集合時に高純度のヘモグロビンを共存させ，温度，pH，イオン強度，ずり応力などの精密な制御により，高濃度ヘモグロビンを内包させた人工赤血球を構築、連続多段式造粒装置や配位子交換装置などの発明により数Lから数10Lの調製工程を完成させた。表面に新規な負電荷アミノ脂質とポリエチレングリコール脂質を導入して、室温2年間の長期棚置き保存を可能とし、血液適合性や血中安定度を格段に向上させた．得られた試料について現在，国内外の医学部との協同して動物試験による安全性と効果の評価（高度交換輸血試験，微小循環動態解析，体内動態と代謝過程解明など）を進めている．

2．分子認識部位を担持させたナノ粒子による人工血小板の創製
　血漿蛋白質であるアルブミンは生体適合性が高く遺伝子組換え体として大量利用できる． pHと温度の制御のみでジスルフィド結合からなる任意の粒子径(数十nmから数μm)のアルブミン重合体の調製に成功した．血管内皮下層の認識機能を担う血小板の膜蛋白質や血小板凝集に関与する蛋白質やペプチドを表面担持させると，血小板機能の一部を再現できることを実証した．現在，傷口に露出したコラーゲンを認識して集合し，血小板やフィブリノーゲンを巻込んだ凝集塊を形成するアルブミン重合体のin vitro, in vivo検討と共に，リン脂質小胞体とした系との比較も進めており，例えば粒子の粘着とローリングの制御に関する興味深い知見が得られつつある．
1と2の研究にて集積された情報から新規な薬物送達系ナノ粒子への展開を試みている．

3．超分子構造体を用いたエネルギー貯蔵･変換システムの構築
　水素結合性の塩基をカリックスアレーンやポルフィリンなどの置換基とした超分子をビルディングブロックとし，水素結合により機能性超分子構造体を構築する試みを開始している．また，環状ジスルフィド基を側鎖にもつ導電性高分子や耐熱性高分子の側鎖にスルホン酸基を高密度に導入させた強酸性高分子電解質などは，有機電極活物質やプロトン伝導体などへの応用展開が期待され，電極表面に集積させてエネルギー貯蔵・変換システムの構築を目指している．

代表論文

1.Hemostatic effects of polymerized albumin particles bearing rGPIa/IIa in thrombocytopenic mice, Biochem. Biophys.Res.Commun., 306, 256-260 (2003).

2.Function of fibrinogen -chain dodecapeptide-conjugated latex beads under flow, Biochem.Biophy. Res.Commun., 312, 773-779 (2003).

3.Effective encapsulation of proteins into size-controlled phospholipid vesicles using freeze-thawing and extrusion, Biotechnol.Prog., 19,1547-52(2003).

4.A Duplex of tetra(2-pyridyl)porphyrin and tetra hydroxylcalix[4]arene, Chem.Lett., 32, 1052-1053 (2003).

5.Rolling properties of rGPIb -conjugated phospholipid vesicles with different membrane flexibilities on vWf surface under flow conditions. Biochem.Biophys.Res. Commun., 296,765-770 (2002).

6.Effect of Hb-encapsulation with vesicles on H2O2 reaction and lipid peroxidation. Bioconjugate Chem., 13, 1302-1308 (2002).

7.Systemic and microvascular responses to hemorrhagic shock and resuscitation with Hb vesicles. Am.J.Phys.-Heart Circulatory Physiol., 283, H1191-1199 (2002).

8.Hemoglobin-vesicles as oxygen carriers - Influence on phagocytic activity and histopathological changes in reticuloendothelial system, Am.J.Pathol., 159, 1079-1088 (2001).

9.Synthesis of disulfide-containing aniline and copolymerization with aniline, Macromolecules, 6, 2751-2756 (2001).

10.Conjugation of von Willebrand factor-binding domain of platelet glycoprotein IB alpha to size-controlled albumin microspheres, Biomacromol., 1, 290-295 (2000).

11.Synthesis and assembly of poly(ethylene glycol)-lipids with mono-, di-, and tetraacyl chains and a poly(ethylene glycol) chain of various molecular weights, J.Am.Chem. Soc., 122, 7927-7935 (2000).